被写体に喜ばれる写真が撮影できていますか?ポートレートでは風景や物撮りと違って撮られる側の反応が良くも悪くもわかってしまいます。反応が微妙だと、ちょっと悲しいですよね。この記事では一眼レフを用いて人物をかわいく撮るための基本から上級レベルのテクニックを紹介します。被写体に喜ばれるような写真が撮れるようになると、人物撮影がとっても楽しくなりますよ。ぜひ身につけて今後のポートレートライフに活かしてみてください。
[講師]フォトグラファー 神田エイジ
一眼レフで人物を撮影するときの基本知識

基本的に逆光・半逆光で撮る
日差しの強い晴れた日の状況下で順光で撮ろうとすると、顔にきつい陰がついてしまったり、眩しくて被写体の表情が険しくなってしまいがちです。
被写体と背景の明暗差が激しく、被写体に露出を合わせてしまうと背景が完全に白飛びしてしまう場合は、半逆光にして試してみるなどしましょう。
焦点距離を長くする
ズームレンズの焦点距離を短くして広角気味で撮ると人物の顔が伸びてしまい、かわいく撮るのが難しくなってしまいます。
風景の中に被写体を置いて引きで写真を撮るときは広角側でも良いですが、被写体に寄って表情をしっかり撮りたい場合は、望遠よりの焦点距離に設定し、それが難しければ最低でも焦点距離を35mmは確保しましょう。
またはじめから単焦点レンズで用いるのもおすすめです。被写体とコミュニケーションの撮りやすい50mmや背景が美しくボケる80mmがポートレートに向いています。
F値を低くする
被写体にピントがあって背景がボケている写真はポートレートを始めた人なら誰でも撮ってみたくなる写真。これは焦点距離を長くし、F値を低くすることで発生します。
またF値を低くするほどシャッタースピードが速くできるので、被写体が動いていてもピンボケし辛くなるというメリットもあります。
開放値から2〜3段階絞った状態で撮影するのが最も解像度が高くなり、被写体にしっかりピントが合うのでおすすめです。
露出量を高くする
標準露出から2〜3段階程度の明るさで撮影することで、人物の顔がより明るく映ります。撮影後、現像処理を行わない場合は明るめに撮るのがおすすめです。
(反対に、撮影後に現像処理を行う場合は、標準露出よりも2〜3段階低くして暗く撮っておく方が白飛び部分が減るのでおすすめです)
ピントを当てる
肝心の被写体がピンボケしている写真では、他がどれだけきれいに撮れていても全く喜ばれない写真になってしまいます。
オートフォーカスモードで1枚1枚ピントを合ったことを確認して撮るか、被写体が走っているところを撮る場合はAFサーボ設定や追尾モードなどで捉えられるようにしましょう。
ピンボケしていてもスナップ写真のような雰囲気であれば味がありますが、それを狙って撮るのは難しいです。基本はきちんと当てるようにしましょう。
キャッチライトを入れる
被写体をかわいく写すためには瞳の中に白い輝きを入れることが必須です。キャッチライトを入れるにはレフ板を使う、光がなるべく均一の場所で撮るといったやり方もありますが、被写体に裸眼、もしくは色の弱いカラコンをつけてもらうのが最も手っ取り早く確実です。
一眼レフで人物をおしゃれに撮影する方法

構図を知る
写真をおしゃれに見せるには構図が全てと言っても過言ではありません。人物撮影では、被写体をど真ん中に置いた「日の丸構図」がよく使われますが、「三分割構図」も利用しましょう。三分割構図とは写真の縦横それぞれを三分割し、その交点や線に被写体などを置く構図です。
交点や線に被写体の瞳や、地平線がくるなど工夫してみるとおしゃれな写真になります。
反対に、建物が被写体の真後ろにきてしまっている「串刺し構図」や地平線や橋などが被写体の首付近にきてしまっている「首切り構図」は避けるようにしましょう。
グリッドを使う
構図を知ったらグリッドを使いましょう。グリッドは写真をよりバランスよく撮影するための補助線です。一眼レフの設定でファインダー内に表示することができます。構図を決めるだけでなく、地平線のようなまっすぐに撮っておきたいものを調整するのにも非常に役立ちします。
人物だけでなく背景にも気を使う
ポートレートの写真は人物だけではなく背景も含めて構成されています。主題である被写体以外の人物は背景に写り込まないようにするか、もしくは目立たないようにしましょう。
また被写体に気をとられて背景が白飛びしてしまうと一気にダサくなってしまいます。
背景が明るすぎて飛んでしまう場合は少し場所や向きを変えてみたり、曇りの日であれば、空はあまり映らないようにするといった工夫をすると良いでしょう。
一眼レフで人物を撮影するときの上級者テクニック

顔に当たる光の質に気を使う
被写体をどれだけかわいく撮れるかは顔に当たる光の質で大きく左右されます。
例えば被写体を比較的暗めの場所に配置し、窓や日向など明るい方向を向いてもらって撮影すると言った工夫をすると柔らかい光が当たる傾向があります。
また撮影に慣れてきたらレフ板やワイヤレスストロボのような撮影補助の道具も使ってみましょう。光の質を操れるようになると、光源がどんな状態でもかわいく撮れるようになります。
敢えて順光で撮ってみる
ポートレートでは基本的に逆光・半逆光で撮るべきです。しかし順光の硬い光でも被写体やカメラの角度を調整することで瞳の色が変わったり顔に印象的な陰がついたりと、非常に作品性の高い写真を撮ることができます。被写体との間に信頼が生まれ始めたら、ぜひトライしてみてください。
現像・レタッチ処理までしっかり行う
撮影したらそれで終わりではなく、LightroomやPhotoshopのようなアプリケーションを使って、明るさや色味などを補正をした方がよりきれいな写真になります。
特に被写体が女性の場合、photoshopでマスク処理を使って肌のレタッチまで丁寧にできるようになると一層喜ばれますので、こちらもできるようにしておきましょう。
コミュニケーションを大事にする
数ある写真のジャンルの中で、ポートレートは唯一被写体と意思疎通ができるジャンルです。1シャッターごとに声をかけてみる、今どのように写っているか見せてあげるなどして被写体にリラックスしてもらい自然な笑顔を引き出しましょう。どれだけカメラや写真に詳しくなったとしても、それだけでは良い表情の写真を撮ることはできないため、実はこれが最も大事なテクニックだったりします。