「何枚写真を撮っても、なかなか魅力的な写真にならない‥」と悩んでいませんか?実は、魅力的な写真を撮影するためには、構図の基本を知る必要があります。「構図」と聞くと難しいと感じてしまうかもしれませんが、実は簡単なものばかり。構図の基本を知り、カメラ初心者を抜け出しましょう。
この記事では、カメラ初心者が悩みがちな構図の基本を紹介します。構図について詳しく知りたいと思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
[講師]ライター ワタナベサツキ
カメラ初心者あるある|魅力的な写真ってどんな写真?
まずカメラ初心者が目指すのは、魅力的な写真が撮れるようになること。しかし、どんな写真が魅力的な写真なのか、正解はありません。そのため、見る人がどんな写真を魅力的だと思いやすいのかを考えましょう。
ここでは、一般的に魅力的な写真といわれるものはどんな写真なのか、またどうやって撮影しているのかを紹介します。
ストーリー性を持たせる
他人から見て魅力的だと思う写真の多くは、ストーリー性を持っています。ただ撮影するのではなく、ストーリー性を持たせることを意識すると、写真が一気に魅力的になるでしょう。
一口にストーリー性を持った写真といっても、人それぞれ見解が異なります。一般的には、その時の状況や気持ち、時間の流れが伝わる写真はストーリー性を持っているといえるでしょう。また、「次」や「続き」が想像できるような写真も、ストーリー性があるといえます。例えば、カメラ目線の写真よりも、カメラ目線ではない写真のほうがストーリー性があります。それは、目線の先に何があるのかを見る人の想像を掻き立てるから。このように、少しの違いでストーリー性のある写真が撮影できるのです。
ストーリー性を盛った写真を撮影するには、構図が大切。どのような構図で撮影するとストーリー性を持った写真になるのかは、この後の「今すぐ使える構図」で学んでいきましょう。
主役を決める
写真を魅力的に見せるために、主役を決めることは大切です。主役がいない写真は、なぜこの写真を撮ったのかわからないような、ぼんやりした写真になってしまいます。ただ何となく写真を撮るのではなく、主役をしっかり決めてから写真を撮ると、魅力的な写真に近付けるでしょう。
主役を決めたら、その主役をどう取りたいのかを考えて構図を決める必要があります。この後の「今すぐ使える構図」で、それぞれの構図でおすすめの被写体を紹介するので、主役決めの参考にしてみてください。
いろいろなアングルを試す
魅力的な写真を撮るためには、いろいろなアングルを試すのがおすすめ。アングルとは、被写体に対して構えるカメラの角度のことで、同じ構図でもアングルによって異なる印象の写真が撮影することが可能です。アングルには、以下の3種類があります。
- 上から見下ろすように撮った「ハイアングル」
- 目の前からまっすぐ撮った「水平アングル」
- 下から見上げるように撮った「ローアングル」
1つの被写体でも、さまざまなアングルを試すことで魅力的な写真に近付けます。魅力的な写真は、1つの被写体や同じ構図でもさまざまなアングルで撮影し、ベストショットを選んでいることがほとんど。魅力的な写真が撮りたいと思っている方は、1つの被写体や同じ構図のさまざまなアングルを試してみましょう。
カメラ初心者あるある|今すぐ使える構図【基本編】
ここからは、「今すぐ使える構図【基本編】」と題し、カメラ初心者が知っておきたい基本の構図を紹介します。
三角構図
三角構図とは、写真の中に三角形ができるように撮影する構図のこと。必ず正三角形にする必要はなく、変形させても逆三角形にしても、三角構図は成立します。三角構図をつくることで、奥行きや安定感を出すことが可能。また奥行きが出るので、ストーリー性も持たせやすくなります。
三角構図で被写体を複数配置する場合は、主役をはっきり決めておきましょう。この写真は時計台を主役にして、ドンと真ん中に三角構図をつくっています。他にも、三角形の頂点に被写体を置いて三角をつくっても、三角構図は成立します。
三角構図におすすめな被写体は、以下の通りです。
- 時計台や東京タワーなどの、尖っている建物
- 斜張橋などの、三角に見える橋
- 山
三分割構図
三分割構図とは、写真の縦横それぞれを三分割し、画面全体を9分割して考える構図のこと。写真の縦横それぞれを三分割した交点や線に、被写体を配置すると三分割構図になります。
三分割構図は、余白を意識するのがポイント。余白を3分の1、被写体を3分の2にするなど、余白と被写体で画面を三分割することを意識すると、抜け感のあるおしゃれな写真になります。この写真は男の子を縦三分割の線上に配置し、下3分の1は草原、上3分の2が空という三分割構図。このように余白をうまく使うと、きれいな三分割構図の写真が撮影できます。
余白のある写真は見る人の想像を掻き立てやすく、ストーリー性も持たせやすくなるもの。三分割構図で余白を意識して、魅力的な写真を目指しましょう。
三分割構図におすすめな被写体は、以下の通りです。
- 人物
- 食べ物
- 風景
- 小物
四分割構図
四分割構図とは、写真の縦横それぞれを四分割し、画面全体を16分割して考える構図のこと。写真の縦横それぞれを四分割した交点や線に被写体を配置すると、四分割構図になります。
四分割構図は、先ほど紹介した三分割構図よりも画面が細かく分けられているので、その分スペースが生まれやすく、写真の表現の幅が広がることが特徴。三分割構図だとなにかが足りないと感じたら、四分割構図を試してみましょう。
四分割構図におすすめな被写体は、以下の通りです。
- 風景
- 人物
シンメトリー構図(二分割構図)
シンメトリー構図とは上下または左右対称になっている構図のことで、二分割構図ともいいます。シンメトリー構図で撮影した写真は安定感があり、インパクトが生まれることが特徴。被写体のバランスがずれていると不安定な印象の写真になってしまうため、しっかりと画面を二分割した写真になっていることが大切です。シンメトリー構図で撮影したいときはグリッド線などを活用して、平行や垂直を意識しましょう。
シンメトリー構図におすすめな被写体は、以下の通りです。
- 神社の鳥居
- 左右対称の建物
- 水面に映った風景
日の丸構図
日の丸構図とは、被写体を中心に捉える構図のこと。基本の構図ですが普通の写真になってしまいがちで、魅力的に見せるのが難しい構図でもあります。日の丸構図で撮影するときは、背景に余計な情報を入れないことが大切。背景がごちゃごちゃしてしまう場合は、背景をぼかして撮影するのも良いでしょう。背景をぼかすと、どんな場所で撮影したのか、見る人の想像を掻き立てることが可能。写真にストーリー性も生まれます。
日の丸構図におすすめな被写体は、以下の通りです。
- 花
- 食べ物
- 人物
カメラ初心者あるある|今すぐ使える構図【応用編】
構図の基本がわかったところで、応用に入りましょう。応用編で紹介する構図は、基本の構図と組み合わせて使うことも可能。基本をふまえた上で、応用も身に付けていきましょう。ここからは、「今すぐ使える構図【応用編】」と題し、カメラ初心者が知っておくとワンランクレベルが上がるような構図を紹介します。
トンネル構図
トンネル構図とは、トンネルの中から外側を見たような構図のこと。この写真は紅葉で周りを囲み、富士山を主役として撮影しています。紅葉がトンネルを表しているということになりますね。
トンネル構図はトンネルの奥に目線を向ける効果があるため、主役を強調することが可能。「トンネルの先はどうなっているのかな?」という想像力も掻き立てられるため、ストーリー性のある魅力的な写真になります。
トンネル構図におすすめな被写体は、以下の通りです。
- 風景
- 人物
- 建物
額縁構図
額縁構図とは、窓などを利用して写真の中に四角を作り、額に写真を入れたような構図で撮る写真のこと。先ほど紹介したトンネル構図に似ていますが、まわりを四角で囲うので重厚感が出ることが特徴です。
暗い室内から明るい屋外を撮影すると、屋外に視線が誘導されます。目線が誘導される写真は主役を目立たせる効果があり、ストーリー性も持たせることも可能。額縁の中に、日常の一コマや風景を切り取ってみましょう。
額縁構図におすすめな被写体は、以下の通りです。
- 窓からの風景
- 神社の鳥居から覗いた風景
サンドイッチ構図
サンドイッチ構図とは、上下や左右をなにかで挟むようにして撮影した写真のこと。トンネル構図や額縁構図と同じように、奥の被写体を際立たせることができる構図です。この写真は、左右を建物で挟むことで、サンドイッチ構図になっています。目線が真ん中に誘導されるので、川や船を主役として目立たせることができています。
サンドイッチ構図におすすめな被写体は、以下の通りです。
- 風景
- 人物
対角線構図
対角線構図とは、被写体を対角線上に配置する構図のこと。対角線に置くことで、奥行きを出しながら、全体的なバランスをおしゃれに見せられます。この写真のように、奥に置いた被写体をぼかすとさらにおしゃれ。主役である手前のケーキを、しっかりと目立たせることができています。
また、対角線構図はななめに被写体を置くので、写真に動きが生まれることが特徴。動きがある写真は、見る人が「次」や「続き」が想像できるため、ストーリー性も生まれます。
対角線構図におすすめな被写体は、以下の通りです。
- 食べ物
- 小物
- 花
消失点構図
消失点構図とは、絵画でもよく使われている遠近感を出すための構図のこと。写真の中に消失点を置くことで奥行きや広がりを表現でき、道路や河川がどこまでも続いているような写真が撮影できます。
また、消失点構図で撮影した写真は、どこまで続くのかという想像力が掻き立てられます。消失点構図で撮影した写真は、引き込まれるような魅力があることが特徴。日常の中で消失点を見つけたら、消失点構図で写真を撮ってみましょう。
消失点構図におすすめな被写体は、以下の通りです。
- 道路
- 線路
- 河川
アルファベット構図
アルファベット構図とは、「S」や「C」などのアルファベットの形を写真の中に作り出す構図のこと。写真の中に曲線が写るので、写真に動きやなめらかさを出せることが特徴です。食べ物の写真は日の丸構図で撮影するのも良いですが、お皿の一部を切り取り「C字」にすると、構図が安定します。曲線を写真に写したいときは、アルファベット構図を意識してみましょう。
アルファベット構図におすすめな被写体は、以下の通りです。
- 道路
- 食べ物
- 小物
パターン構図
パターン構図とは、規則正しいパターンを切り取る構図のこと。写真にリズム感が生まれるので、楽しい印象の写真になります。パターン構図を撮影するときは、ピントを合わせる場所に気を付けましょう。全体にピントが合うように少し離れて取ったり、1つにピントを合わせて他はぼかしてみたり、最適な構図を探してみてください。
パターン構図におすすめな被写体は、以下の通りです。
- お菓子
- 花
- 風景
構図の基本を身に付けて、カメラ初心者を抜け出そう!
今回は、カメラ初心者が悩みがちな構図の基本を紹介しました。今回紹介した構図を組み合わせて、さらに高度なテクニックで撮影するのもOK。「三分割構図×サンドイッチ構図」や「消失点構図×トンネル構図」など、いろいろな組み合わせを試してみてくださいね。
構図の基本を身に付けて、カメラ初心者を抜け出しましょう。