近年、スマホのカメラ機能が急速に進化し、スマホのカメラでもきれいで美しい写真が撮れるようになってきました。しかし、「せっかくなら、さらにきれいで美しい写真を残したい」と、ミラーレスカメラを購入する方も増えています。一眼よりも手軽で使いやすいミラーレスカメラですが、スマホのカメラ機能とどのような違いがあるのでしょうか?
この記事では、カメラ初心者の方やミラーレスカメラの購入を検討している方に向け、ミラーレスカメラとスマホの違いを詳しく解説します。また、それぞれのメリットとデメリットも詳しくご紹介していきます。メリットとデメリットの両側面を知ることで、カメラを購入するかどうかの判断材料になると思うので、ぜひ参考にしてみてください。
[講師]ライター ワタナベ サツキ
ミラーレスカメラとスマホの違い
まずは、ミラーレスカメラとスマホの構造的な違いを解説します。普段何気なく使っているスマホですが、スマホとはそもそも何なのか、カメラはどのような構造なのか知らない方も多いのではないでしょうか?また、ミラーレスカメラについても、一眼レフとの違いを良く知らない方が多いと思います。ミラーレスカメラとスマホの構造的な違いを知り、それぞれの特徴をつかんでいきましょう。
ミラーレスカメラとは?
ミラーレスカメラの正式名称は「ミラーレス一眼カメラ」。デジタルカメラ、通称デジカメの一種です。ミラーレスカメラは、一眼レフよりもコンパクトで本格的な写真が撮れると、人気が高まっています。
ミラーレスカメラは、その名の通りミラーがないカメラのこと。一眼レフは、レンズから取り込んだ被写体をカメラ内部の鏡に反射させ、その反射させた映像を「光学式ファインダー」を通して確認し、撮影するという構造です。一眼レフの特徴は、光学式ファインダーを搭載していることで、ファインダーで見たままの写真にになること。また、動きのある被写体でもタイムラグが少ないことがメリットです。一眼レフは、本格的なプロの現場でも幅広く使用されています。
これに対してミラーレスカメラは、鏡をなくして被写体を映像に変換し、この映像を「液晶ディスプレイ」または「ファインダー」に写します。したがって、一眼レフからミラーが除かれた分コンパクトになり、軽量化・小型化されたのがミラーレスカメラということになります。
本格的なフォルムや重厚感を重視したい方や、本格的にプロのようにカメラを学びたい方は、一眼レフカメラが向いていますが、初心者におすすめしたいのはミラーレスカメラ。数年前までは、「ミラーレスカメラは一眼レフに劣る」といった声もありましたが、現在のミラーレスカメラは技術の向上によって、初心者でも簡単に操作することができるようになっています。
スマホとは?
スマホとはスマートフォンの略で、パソコンの機能を併せ持った、インターネットとの親和性が高い多機能携帯電話のことを指します。「賢い」という意味の「smart」と、「電話」という意味の「phone」から生まれた言葉です。1台持っていればなんでもできるというのがスマホの魅力。もちろん写真や動画撮影もできることから、カメラとして使用することも可能です。
スマホに搭載されているカメラは小さいですが、その基本的な構造は、従来のカメラと変わりません。スマホのカメラ内部には、従来のカメラと同じように、光を集めて被写体を写すレンズや、被写体を記録するセンサーなどが納められています。実はスマホのカメラ自体の構造は、ミラーレスカメラと似ているのです。
しかし、スマホは写真を撮る専用の機械ではありません。そのため、ミラーレスカメラなどの「一眼」と呼ばれるものとは性能が異なります。ですが、必ずしもミラーレスカメラが良いというわけではなく、使い方や使用用途によって、どちらが良いのかは変わります。
ミラーレスカメラとスマホの違い|ミラーレスカメラ編
ここでは、ミラーレスカメラのメリットとデメリットをご紹介します。
ミラーレスカメラのメリット
まずは、メリットをご紹介します。
高画質
ミラーレスカメラのメリットのひとつは、高画質なこと。ミラーレスカメラに搭載されているセンサーは、スマホと比べると圧倒的にサイズが大きいため、スマホよりも高画質な写真を撮ることができます。また、ミラーレスカメラは、そのセンサーサイズの大きさから取り込むことのできる光が多く、暗い場所から明るい場所まで潰れることなく撮影することが可能です。
ミラーレスカメラは、プロが使う一眼レフカメラと同等の画質の良さが魅力。ズームしてもノイズが出にくいため、画質が落ちることがなく、明暗差もきれいに撮影できます。遠くの被写体を撮影したいときや、写真を大きく引き伸ばして使いたいときは、画質の良さが必要不可欠。ミラーレスカメラなら、このような場面でもノイズが入りにくく、本格的な写真を撮ることができます。
手ブレしにくい
ミラーレスカメラの2つめのメリットは、手ブレしにくいこと。現在発売されているミラーレスカメラのほとんどには、手ブレ補正機能が付いているため、手ブレを最小限に抑えることが可能です。また、スマホに比べカメラ自体に重みがあるため、軽いスマホよりも安定感があり、手ブレ防止に繋がります。例えば、運動会や発表会、文化祭など、絶対逃したくない瞬間の写真を撮るときには、ミラーレスカメラは手ブレしにくいという安心感がありますね。
レンズの種類が豊富
ミラーレスカメラは、レンズを変えて、様々な写真を楽しむことができます。レンズには様々な種類があり、付け替えることで多様な写真を撮ることが可能です。代表的なレンズの種類は以下の通りです。
・標準レンズ(近くのものを撮りたいとき)
・広角レンズ(広い範囲を撮影したいとき)
・望遠レンズ(遠くの被写体を撮影したいとき)
・単焦点レンズ(ボケ感を演出したいとき)
・マクロレンズ(小さいものを拡大して撮影したいとき)
デザイン性が高い
ミラーレスカメラは、そのデザイン性の高さから、女性にも人気があります。デザイン性が高いことでファッションにもなじみ、コーディネートとして使用したり、インテリアとして使用したりすることも可能です。
例えば、スタイリッシュなミラーレスカメラなら、キャノンの「EOS Kiss M2」がおすすめです。手のひらサイズの大きさと、シックでスタイリッシュな見た目で人気があります。女性に人気なのは、オリンパスの「OLYMPUS PEN」。そのデザイン性の高さから、ファッションアイテムとしても魅力的です。
ミラーレスカメラのデメリット
次に、デメリットをご紹介します。
持ち運びに向かない
ミラーレスカメラは、一眼レフより小型化されているとはいえ、持ち運ぶには不安があります。もし壊れてしまった場合の修理費も、スマホより高額になることがほとんどです。また、大きさの面からも、特に女性の場合は、手持ちの小型バッグには入りません。ミラーレスカメラを持ち運びたい場合は、大きめのバッグを使うか、首にかけるなどして持ち運ぶ必要があります。そして、バッグに収納してしまうと、サッと撮影することができません。したがって、長時間の持ち運びには、スマホのほうが向いていると言えます。
加工・編集が大変
ミラーレスカメラで撮影した写真を加工・編集したい場合は、PCやスマホに移す必要があります。この加工・編集にかかるひと手間ですが、写真を日常的に加工・編集している方は煩わしく感じることもあるでしょう。例えばSNSに写真を載せたい場合、加工した写真を「撮って出し」することができません。加工や編集が当たり前となってきている現在において、この点はデメリットと言えます。
高価
ミラーレスカメラは、スマホに比べて高価なこともデメリットのひとつ。値段は様々ですが、本体のみで10万円は確実に超えてしまいます。さらに、本体の他にも付属品が必要です。レンズ各種・SDカード・予備バッテリー・クリーニングキットなど、これらの付属品をすべてそろえると、かなり高価になってしまいます。
スマホは、本体の代金のみで完結しますが、ミラーレスカメラは本体代金の他に、付属品の代金がプラスでかかります。ミラーレスカメラを購入するときは、お財布と相談しましょう。
ミラーレスカメラとスマホの違い|スマホ編
ここからは、スマホのメリットとデメリットをご紹介します。
スマホのメリット
まずは、メリットをご紹介します。
持ち運びしやすい
スマホの最大のメリットは持ち運びしやすいこと。ポケットや、小さいバッグに入るコンパクトさが魅力です。スマホは、カメラ機能だけではなく日常的によく使うものですよね。わざわざ持ち運ぶわけではなく、常に持っているものなので、持ち物も増えません。このコンパクトさから、写真を撮りたいと思った時にサッとバッグから取り出して、すぐに撮影することが可能。急に写真を撮りたくなった時には、スマホが便利です。
アプリが充実
スマホは、アプリが充実していることも魅力。加工・編集できるアプリから、写真を整理できるアプリまで、1台持っているだけで様々なことができてしまいます。特に、人物を撮影するときや自撮りするときは、盛れるアプリ活用して撮影することが一般的になってきました。スマホなら、ミラーレスカメラのように、レンズを付け替えることなく、様々な写真を撮影することができます。また、ミラーレスカメラではできない、撮った写真をすぐにSNSにアップできる「撮って出し」が可能。SNSにアップする写真を撮影するなら、スマホが便利です。
比較的安く購入できる
スマホは、ミラーレスカメラに比べて比較的安く購入できることも魅力です。iPhoneだと、1台10万円程度。安い端末を選ぶと、1万円台で購入することもできます。さらに、スマホは1台購入するだけで、必要な付属品もほとんどありません。本体以外の付属品が多いミラーレスカメラに比べて、付属品がいらないスマホカメラは価格を安く抑えることができます。
スマホのデメリット
次に、デメリットをご紹介します。
画質が低い
スマホのカメラ機能は、ミラーレスカメラ比べると、どうしても画質が低くなってしまいます。また、スマホには小型のレンズが搭載されているため、レンズ口径が大きくなる傾向にある、望遠レンズの搭載は実現していません。そのため、スマホは遠くのものを撮影することができないこともデメリットです。しかし、SNSにアップするような小さい写真であれば、画質の低さは気にならない程度なので、スマホのカメラでも十分な写真を撮ることができます。
手ブレしやすい
技術の進歩により、手ブレ補正付きのスマホも出てきてはいますが、ミラーレスカメラに比べると精度が低いのが事実です。この手ブレのしやすさはデメリットのひとつ。特に、動画の撮影では手ブレしやすいです。スマホの撮影で手ブレしたくない場合は、ジンバルなどを購入する必要があります。
デザイン性が低い
スマホは、ケースをつけておしゃれにすることを前提としていることもあり、スマホ単体で見るとデザイン性が低いこともデメリットのひとつ。また、写真や動画撮影専用のものではないため、ミラーレスカメラのように手にフィットする形ではなく、撮影しやすいデザインではないと言えます。ケースをつけないスマホ単体で見ると、シンプルなものが多く、デザイン性を売りにしているミラーレスカメラに比べると、デザイン性は劣ってしまいます。
ミラーレスカメラとスマホの違いをまとめてみた
ミラーレスカメラ | スマホ | |
手ブレ | しにくい(◎) | しやすい(△) |
画質 | 高画質(◎) | ミラーレスには劣る(○) |
持ち運び | しにくい(△) | しやすい(◎) |
デザイン性 | 高い(◎) | ケースがあれば(○) |
加工・編集 | データを写す必要あり(△) | アプリで簡単(◎) |
値段 | 高価(△) | 比較的安い(○) |
バッテリーの持ち | 1日程度は持つ(○) | 1日程度は持つ(○) |
今回は、ミラーレスカメラとスマホの違いを詳しく解説しました。ミラーレスカメラにもスマホにもメリットとデメリットがあるため、使用用途によって使い分けするのもひとつの手ですね。
メリットデメリットを知った上で、自分に合ったものを選びましょう。